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サッカー日本代表チームにおけるリスク管理

昨日からの続きで、日本整形外科学会学術集会の報告です。

「サッカー日本代表チームにおけるリスク管理 」

2010年からの4年間(ザックジャパン時代)、サッカー日本代表のチームドクターを務めた順天堂大学 池田 浩先生の講演です。

サッカー日本代表は表向きは華やかなイメージがありますが、チームドクターが見た裏側の話を聞けました。日本代表に限らず、プロサッカー選手は痛みがない人がいないくらいの過酷な状態で身を削るようにしてプレーしているようです。うろ覚えですが以下のような内容でした。

南アフリカ大会では海外組が4人しかいなかったが、ザックジャパンでは23人のうち半数以上が海外組となった。海外組の選手、所属チームのチームドクターと怪我の状況などを電話でやり取りするため、携帯の時刻はヨーロッパの時刻も登録していた。時差の関係で夜中に電話でやり取りすることもたびたびあった。海外のリーグは日本よりもレベルが高いため、また休むと試合に出られなくなるため、長距離の移動の影響などのため、過密スケジュールになりやすく、海外組に怪我人が多かった。怪我は肉離れが多く、同一選手の同一個所に複数回の怪我が起こっていた。選手の疲労度などを把握するために、自己評価シートや血液検査などで評価し、そのデータを監督に報告し、監督が練習メニューを決めていた。

脳震盪は非常に危険なため、試合中に脳震盪を起こした場合は、その後プレーは続行させてはならないそうです。PRP(多血小板血漿療法)はエビデンスがあるという報告やないという報告もあり、所属チームによって方針が異なっているようです(長友選手の所属するインテルではするし、吉田麻也選手が所属するサウサンプトンではしない)。半月板損傷は、縫合したほうが長期成績が良いが復帰まで4-6か月かかり、再発のリスクもあるのが難点。治療よりも予防の方がはるかに大切で、ハムストリングのエキセントリックトレーニングなどが重要とのこと。

(投稿者:斉藤 揚三)