よくある質問

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どういう人が訪問診療を受けられるのですか?
在宅医療(訪問診療)の対象がどのようなものかについて明確な基準はありません。しかし、患者さんがお一人で医療機関を受診できない場合、在宅医療(訪問診療)を受けられる可能性があります。一人で通院できない理由は、例えば認知症のため、膝や腰の痛みのため、病気や老化で体が弱ったためなど人それぞれです。一度お気軽にご相談ください。
在宅医療は看取りのための医療なのですか?高度な検査や治療は受けられないのですか?
「在宅医療(訪問診療)=看取りの医療」というのは誤解です。基本的には医療機関に通院した場合と同レベルの医療を提供することを目標としています。ただし、現実問題として訪問診療にレントゲンやCTなどの大掛かりな検査機器を持ち込めないことから、提供できる医療には限界があります。しかし各種検査は必要に応じ連携先病院に依頼して行うことができます。また入院が必要となったときには、責任をもって連携先病院等へご紹介します。
具合が悪い時はいつでも対応(診察)してもらえますか?
当院の定期訪問診療を受けている患者さんについては、24時間365日、いつでも対応(診察)できるように体制を整えております。しかし様々な事情で対応できない可能性もあります。例えば、別な患者さんの救急対応中だったり、携帯電話の通じない地域を訪問診療中だったりする場合です。また、緊急性が高い病状の場合、当院の往診を待つよりも救急車を要請した方がいいことがあり、電話で状況を伺って判断いたします。
訪問診療を受けていないのですが、具合が悪いので往診してもらえますか?
当院はまったく初診の患者さんに関しては、急病に対する往診はしておりません。定期的な訪問診療をしている方であれば、日頃の状態や過去のデータと照らし合わせることで、急病についてもある程度対応することができます。しかし、まったく背景の不明な方の場合、短時間で病状を把握するためには様々な検査が必要です。そのため往診では不十分な医療になってしまいます。それが患者さんにとって不利益と考えられるため、お断りしております。なにとぞご理解いただき、十分な検査が受けられる医療機関を受診してください。病状が安定した段階での訪問診療のご相談はよろこんでお受けいたします。
看取りの段階だとは思うのですが、病院の方が手厚い医療が受けられるのではないですか?
病院に入院させれば安心だという気持ちはわかりますが、ご家族が覚悟を決めれば在宅での看取りも難しいものではありません。訪問看護や訪問介護を併せて受ければご家族の負担もずっと軽くなります。また何より患者さんにとって住み慣れた家で家族と一緒に過ごす時間はかけがえのないものです。入院では禁止されるお酒やたばこも自宅では自由です。そのような「わがままが言える」「気ままに暮らせる」という安心感のためか、痛みを伴うことが多い末期がんの患者さんでも、在宅では痛み止めの使用量が約半分で済むという報告もあります。患者さんが穏やかに余生を過ごしたいと考えているのであれば、在宅医療は非常にメリットの大きい選択肢だと思われます。
食べる量が減ってきて胃瘻や中心静脈栄養を勧められました。どうすればいいですか?
口からものを食べられない場合、なんらかの方法で水分と栄養を与えなければ死んでしまいます。それを老衰やがんなどの末期状態として受け入れられる場合は、苦痛を和らげる医療(緩和医療)と比較的少量の点滴で見守る方法(看取りの医療)があります。しかし看取りの方針とすることに納得できないような場合は「胃瘻(いろう)による経管栄養」か「中心静脈栄養(高カロリー輸液)」のどちらかを選択することが一般的です。これは、患者さんやご家族の状況・人生観などが複雑にからむ難しい問題で、どうすればいいかについて明確な答えはありません。当院の在宅医療を希望される方に限りますが(そうでないと責任持てないので)、よろこんでご相談をお受けいたします。是非一度お問い合わせください。
診察の時、担当ケアマネージャーさんや施設職員さんなど、事情をよく知っている人にも同席してほしいのですが可能ですか?
患者さんのことをよく知っている方の同席は大歓迎です。当院は行政機関、介護福祉分野の方と積極的に連携し、本当に患者さんにとってふさわしい医療を提供したいと考えています。
介護施設に入所中ですが、訪問診療を受けられますか?
施設でも当院の訪問診療は受けられます。ただし、老人保健施設(老健)や特別養護老人ホーム(特養)、デイサービス先は基本的に訪問診療の対象にはなりません。入居している施設が訪問診療を受けられるのかわからないという場合は一度お気軽にお問合せください。
在宅医療が始まってから途中でやめることはできますか?
途中でやめることは可能です。当院は患者さんとご家族のご希望を最大限に尊重したいと考えていますので、「やっぱり○○病院(医院)に通院したい」などの希望は遠慮なくおっしゃってください。通院の場合は患者さんの意思で「先生と合わないからもう行かない」ということが簡単にできますが、在宅医療の場合は「もう来てほしくないが定期的に来てしまう」といういわば「押し付けの医療」になりがちです。当院としても本当は望まれていないのに行くという「独りよがりな訪問診療」はできれば避けたいと考えています。言いにくい場合はケアマネージャーさんなどを介して意思表示をしてください。空気を読んでこちらから提案することもあります。
床ずれの処置が大変です。どうすればいいですか?
床ずれ(褥創)処置の方法は様々なことが言われておりますが、当院でお勧めしているのは「うるおい治療」「湿潤療法」「ラップ療法」などと言われている方法です。この方法であれば処置はそれほど難しくありませんし、高価なドレッシング材(傷を覆うもの)や消毒薬も不要です。しかも「感染も起こさず」「痛くなく」「早く」治すことができます。当院の訪問診療を受けている患者さん(ご家族)には懇切丁寧にご指導いたします。また、床ずれ以外の皮膚トラブルにも、この方法を応用して対処できます。
末期がんで痛みがひどいのですが、麻薬なんて使って本当に大丈夫ですか?
麻薬を使ったら「もう終わり」「廃人になる」「薬物依存になる」という印象をお持ちの方も多いかもしれません。しかし「まやく」は「魔薬」ではなく「麻薬」であり、適切に使えば非常に安全で、しかも劇的に苦痛を和らげる素晴らしい薬です。また「麻薬を使うと体力を消耗して寿命が短くなる」などというのも全くの誤解で、むしろ苦痛が少なくなることで肉体的にも精神的にもストレスが減り、延命効果も期待できます。当院では麻薬適正使用のスペシャリストによる緩和治療を行いますので、安心して痛みの治療を受けられます。
漢方薬にも興味がありますが、副作用とか本当に効くのかとか、いろいろ心配です。
漢方薬にも多少の副作用があります。しかし副作用を起こす成分(生薬)は限られているので、それに注意して使えばそれほど怖いものではありません。当院の医療は西洋医学的な診断と治療を基本にしておりますが、それだけではうまくいかない症状や病気に対して積極的に漢方薬を勧めております。当院の医師自身もかなりの種類の漢方薬を実際に飲んで試し、良好な感触を得ています。残念ながら当院に漢方の専門家はおりませんが、「だからこそ漢方薬に執着しない柔軟な治療を提供できる」と、いいように解釈していただけると幸いです。
ケアマネージャーですが、お医者さんは忙しそうなので連絡や相談するのを遠慮してしまいます。
「ケアマネージャーが困難に感じる点」として最も多い(約50%)のが「医師との連携が取りづらい」だったという調査があります。医師のなかには「こんな時間に電話をかけてくるな」などと怒る人もいると聞いたことがあります。医師は医療の専門家ではありますが、介護福祉分野や介護保険制度について勉強したという人は多くありません。そのため、介護分野との連携を避けたいと思っているのが本音だと思います。当院では在宅医療を提供する上で介護との連携は必要不可欠と考えておりますので、医師自らケアマネージャーの資格を取得するなど理解を深める努力をしております。是非お気軽にご連絡・ご相談ください。
具合が悪くなったら入院させてもらいたい。入院設備のないクリニックでも大丈夫ですか?
当院には入院設備がありませんが、入院が必要と判断される場合は、提携する医療機関に責任を持って依頼しますので安心してください。入院先には基本的に電話で受け入れ可能かどうかを問い合わせ、作成した診療情報提供書(紹介状)を持って受診していただくことになります。緊急性が高く救急搬送が必要な場合はまず救急車を呼び、搬送先が決まった段階でご連絡いただければ、すぐに診療情報提供書(紹介状)を作成し、FAXで搬送先の医療機関に送ります。当然24時間365日対応いたします。これが在宅医療専門クリニックの強みです。
施設での看取りは警察沙汰になるから無理と言われました。本当ですか?
最終的には施設の考え方によりますが、どんな施設でも看取りは可能です。よく言われる「急変」という言葉ですが、「病気や老いによる正常な経過の死だが、『死ぬ』という直接的な表現を避けるための急変」と「さっきまでぴんぴんしていた人が突然死んだという意味の『本当の急変』」の2種類があります。前者の場合は在宅医療で何の問題もなく看取りができます。「死亡する前の24時間以内に診察を受けていないと死亡診断書が書けない」などというのも世に広く浸透している誤解です。一方、後者(本当の急変)の場合ですが、普通は救急要請され救命処置を受けます。しかし本当の急変であっても、事前に「心肺蘇生や集中治療は受けたくない」という意思表示があれば、救急要請せずに看取ることも可能です。ただし正常な経過ではないため明らかな病死という確証が得られないこともあります。その場合、事故や事件の可能性を否定できないので警察署に「異常死体の届け出」を行い「検視」を受ける必要が出てきます。その結果、施設の前にパトカーが止まることになり、これを「警察沙汰になる」として施設が嫌うものと思われます。しかし「警察沙汰になる」ことがすなわち「事件になる」ことではありません。むしろ当院では「事件性がないことを立証していただくため」に、積極的に検視を依頼するという立場です。当院で訪問する施設にもこのような考え方をご理解いただき、安心で穏やかな看取りのために緊密な連携を取っていきたいと考えています。