緩和医療について
緩和医療とは、癌や心不全、神経難病などの進行に伴う、痛みや苦しみをできるだけ和らげることを目的とした医療です。
緩和医療というと、治療ができなくなってから開始されるものだと誤解されていますが、そのような事はありません。現在では、病気が分かってから早めに始めた方が良いと言われています。痛みがない状態の方が体力の消耗が少なく、病気に立ち向かう気力がでてくるからです。治療をしながらでも、並行して緩和医療を行うことは可能ですし、むしろ望ましい形ではないかと考えます。
在宅医療でどこまでの緩和医療が可能なのか?に関してですが、自宅であっても痛み止めの持続注射を行うことができますし、薬が飲めなければ痛み止めの貼り薬もあります。できる限り痛みが生じないように薬の量を調整します。また、自宅の方が病院に入院しているよりも、痛み止めの使用量が少なかったという報告があります。これは、痛みが環境によっても影響を受けることを示唆しています。在宅医療では自宅にいるメリットを最大限に生かすことを考えます。
さらに、痛み以外の症状(呼吸苦、嘔気、嘔吐、食欲不振、便秘、倦怠感、不安、不眠、せん妄など)も生じえますが、これらの症状に対しても、少しでも和らげられるように努めます。
緩和医療のブログ記事
終末期医療について
終末期医療とは、「人生の最終段階における医療」、「看取りの医療」と言い換えることができます。医学の発展により、寿命は飛躍的に伸びてきています。しかし、どんなに医学が発展しても、いずれ限界を迎えるときが来ます。そのような病気が治らないときに行われる医療が、終末期医療です。
年とともに徐々に食べられなくなって、動けなくなって、衰弱が進んで亡くなるのは老衰の過程です。老衰の末期、つまり亡くなる直前には、必ず脱水が起こっています。脱水となり枯れるようにして亡くなるのが、体は最も楽だと言われています。水分を摂らなくなったのではなく、体が水分を受け付けないのかもしれません。脱水だけをみて過剰な点滴をすると、全身にむくみが出たり、肺に水がたまったり、痰が多く出たりで、溺れるようにして苦しみながら亡くなってしまいます。
一方で、なにもしないでみていればいいとも言えません。介護をしているご家族の気持ちにも配慮が必要です。そこで、相談の上、少量の点滴を行うこともありますが、ご家族が自宅で安全に管理できる点滴の方法を指導いたします。その他にも、自宅で安心して過ごしていただけるように、療養上のアドバイスもいたします。
看取りの段階に入った場合には、できるだけ苦痛がないように、穏やかな最期を迎えてもらうことを目指します。