認知症治療

認知症治療の前に、まずは、認知症は老化現象で、脳の不可逆的な変化であり、良くすることはできないということを認識しなければなりません。確かに自分の親がおかしな言動をとった場合、なかなか受け入れられないのは当然です。認知症を受け入れられず、否定したり、叱ったりしては、状況をさらに悪化させます。

だからと言って、ただ指をくわえて見ていなければならないかというと、そうではありません。認知症の方にどのように接したらよいかに関しては技術があります。この技術を使えば、薬を使わなくても穏やかになります。逆に、接し方が悪ければ、いくら薬を使ったところで効果は期待できません。この技術に関してもアドバイスいたします。

薬物治療に関してですが、現在、抗認知症薬(商品名ではアリセプト、レミニール、リバスタッチパッチ、メマリー)が出ています。しかし、どれも認知機能を改善させるのではなく、認知症の進行を少し遅らせる程度の効果しかありません。効果がないどころか、薬の副作用である、興奮や食欲不振などがみられているケースが多々あります。当院では、抗認知症薬が本当に必要なのかどうかを見極めて処方しています。また、認知症の周辺症状(暴言・暴力、介護抵抗、徘徊、幻覚、不眠など)に対しては、精神を穏やかにする薬を使い、介護者の負担を軽くするようにしています。介護者が倒れてしまっては元も子もないからです。

※ここでは認知症は治せないと書きましたが、慢性硬膜下血腫、甲状腺機能低下症、ビタミン欠乏症によって認知症になっている場合は治せます。また、認知機能に影響を及ぼす薬を止めることで、改善させることも期待できます。

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