認知症治療

認知症治療への考え方

認知症の治療においてまず大切なのは、認知症が脳の不可逆的な変化によるものであり、現代の医学でも完全に「元通りにする」ことは難しいという現実を正しく認識することです。

親愛なる家族に不可解な言動が見られたとき、それを受け入れられず、否定したり叱ったりしてしまうのは無理もありません。しかし、その対応が症状をさらに悪化させてしまうこともあります。

薬よりも大切な「接し方の技術」

認知症の方への接し方には「技術」があります。この技術を正しく活用すれば、薬に頼りすぎなくても、ご本人は驚くほど穏やかになります。逆に、接し方が合わなければ、どんな薬も十分な効果を発揮できません。当院ではこの具体的な関わり方についてもアドバイスいたします。

薬物療法との誠実な向き合い方

現在、数種類の抗認知症薬が普及していますが、これらは進行をわずかに遅らせるものであり、機能を劇的に改善するものではありません。むしろ副作用による興奮や食欲不振がみられるケースも多々あります。
当院では、抗認知症薬の必要性を厳格に見極め、過剰な処方を避けるよう努めています。

一方で、介護の現場を困難にする「暴言・暴力、介護抵抗、徘徊、不眠」といった周辺症状に対しては、精神を穏やかにするお薬を適切に使用します。介護をされているご家族が倒れてしまわないこと。それが在宅における認知症治療の極めて重要な目標だと考えています。

※治せる可能性のある症状について
慢性硬膜下血腫、甲状腺機能低下症、ビタミン欠乏症などが原因の場合は、治療による改善が期待できます。また、現在服用中の薬が認知機能に影響している場合、その調整によって症状が軽快することも多々あります。

具体的なケアのポイントや実際の症例などは、ブログ記事もあわせてご覧ください。

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