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かぜ・インフルエンザと漢方治療

風邪やインフルエンザのシーズンになってきました。

風邪やインフルエンザはウイルス性疾患なので、抗生剤は効きません。処方するとしたら漢方薬が望ましいです。処方の際には井齋偉矢先生の漢方薬の講演が実践的で役に立ちます。講演のまとめを以下に載せておきますので参考にしてみてください。

サイエンス漢方処方セミナー 仙台 2017.1.22
井齋偉矢先生「かぜ・インフルエンザと漢方治療」

風邪症候群の治療は漢方薬を基本とする。

炎症の部位・程度・病期・免疫能・key word これらの項目を詳細に吟味して病態が把握できると漢方薬が決まる。ずれると応答しない。

往々にして風邪は症状が強いので、初めから1日3回投与はありえない。少なくても4回(朝昼晩寝る前)、多くなると5回(さらに15時も加える)など。よくなってきたら投与間隔を伸ばす。 日本の漢方薬の量は中国の1/3~1/5程度。3倍使ったとしても3倍量だしたわけではない。安全域に余裕がある。急性期は畳みかけるように飲まないと反応がでてこない。

 咽頭(バリアなし)の炎症

炎症の部位:咽頭のみ 程度:軽い 病期:急性(発症後2,3日以内) 免疫能:普通~やや低下 key word:咽頭の色がきれいな赤

Rx) コタロー桔梗石膏6.0g or ツムラ桔梗湯7.5g 分3 4日分 発症後3日くらいまで。症状の強いときは、3~4時間おきに服用すると良い。ツムラ桔梗湯は水に溶かして水薬にして咽に5秒以上馴染ませる含み飲みを推奨。苦手な人にはOTCで桔梗湯トローチがある。咳嗽がでてきたら、小柴胡湯加桔梗石膏へ。患者さんの反応が悪いときは早めに小柴胡湯加桔梗石膏に変えた方がよい。

炎症の部位:咽頭の周辺に広がる 程度:中等度 病期:亜急性(発症後4,5日以降) 免疫能:普通~やや低下 key word:咽頭の色は鮪の赤身のよう、咳が出始める

Rx) ツムラ小柴胡湯加桔梗石膏7.5g 分3 7日分 発症後4,5日以降。症状が強いときは、3~4時間おきに服用すると良い。

鼻と喉の違うところは鼻にはバリアーがある。鼻と喉に同じように効く薬は存在しない。鼻と喉はよく症状が合併するが必ず違う薬を用いる。

鼻炎、副鼻腔炎

炎症の部位:鼻腔 程度:軽度~中等度 病期:急性 免疫能:普通~やや低下 key word:鼻が詰まって口で呼吸、鼻がムズムズ

Rx) 東洋桂麻各半湯4.5g 分3 3日分 or ツムラ麻黄湯7.5g 分3 1日分 麻黄湯は速攻で鼻水を止めたいときに頓服的に使う。

炎症の部位:鼻腔から副鼻腔へ進展 程度:中等度 病期:亜急性 免疫能:やや低下 key word:頬部が熱を持つ、後鼻漏でむせる(特に就寝中)

Rx) ツムラ辛夷清肺湯7.5g 分3 7日分 鼻炎がこじれて副鼻腔炎になったときの第一選択。作用増強のためにツムラ葛根湯加川芎辛夷7.5g 分3を追加。副鼻腔の化膿対策にツムラ排膿散及湯7.5g 分3を追加。

発熱を伴うかぜ、インフルエンザ

炎症の部位:体表から内部へ 程度:中等度 病期:急性 免疫能:普通~やや低下 key word:熱っぽい感じ、赤ら顔

Rx) 東洋桂麻各半湯4.5g 分3 3日分 熱感のあるかぜの初期には抜群の切れ味を示すので常備薬としても有用

炎症の部位:体表から内部へ 程度:中等度 病期:急性 免疫能:低下 key word:とにかく冷えて冷えて、細くて沈んだ脈

Rx) ツムラ麻黄附子細辛湯7.5g 分3 4日分 or コタロー麻黄附子細辛湯6C 分3 4日分 平熱の低い人に適応が多い。身体が温めるに従い免疫力がアップする。

炎症の部位:体表から内部へ 程度:重度 病期:急性 免疫能:やや低下 key word:無汗が必須条件、悪寒・関節痛

Rx) ツムラ麻黄湯7.5g 分3 1日分 実際には2,3時間毎(1,2時間毎でも良い)にはっきり発汗するまで飲む。逆に発汗したら終わり。

インフルエンザ罹患時の体温の経時変化 麻黄湯群、オセルタミビル群、ザナミビル群で有意差なし

炎症の部位:体表から内部へ 程度:重度 病期:急性 免疫能:やや低下 key word:烈しい悪寒・身体中が痛い

大青竜湯の近似処方 Rx) サラサラには(無汗が必須条件)→ ツムラ麻黄湯7.5g+ツムラ越婢加朮湯7.5g 分3 1日分 ハッキリ発汗するまで。背中がシットリしていたら→ツムラ桂枝湯7.5g+ツムラ麻杏甘石湯 7.5g 分3 1日分 インフルが抜けるまで2~4時間毎に服用。

回復を後押しする漢方薬

炎症の部位:特定の部位はない 程度:いろいろ 病期:回復期 免疫能:やや低下 key word:胃腸の働きが落ちている、倦怠感を訴える

Rx) ツムラ補中益気湯7.5g 分3 14日分 病悩期間が短いほど、年齢が若いほど、効果発現までの期間は短い

こじれて咳がついてきたら

炎症の部位:気管支と肺 程度:こじれたのだから重度 病期:亜急性期 免疫能:かなり低下 key word:気管~肺胞のどこが首座か?乾性~湿性のどの辺りか?喘鳴は聞こえるか?

Rx) ツムラ麦門冬湯9.0g 分3 7日分 日中の咳き込みに。乾性咳嗽の初期にしか効かないし、効果の持続時間が短いので頻回に服用する。

Rx) ツムラ滋陰降火湯7.5g 分3 7日分 こじれ始めてまだ湿性の兆しがみえないときに早めに服用を始める。布団に入ってから咳き込むとき。 あくまでも乾性咳嗽だがもう少し効果を増強したいときには麦門冬湯を追加する。 ツムラ麦門冬湯9.0g 分3 7日分

Rx) ツムラ竹筎温胆湯7.5g 分3 7日分 湿性咳嗽に。さらにこじれて抗菌薬の併用は必須の状況で使われる。乾性咳嗽が始まっても肺の中には乾性の部分も残っているのが普通なので滋陰降火湯の併用が効果的である。 ツムラ滋陰降火湯7.5g 分3 7日分

Rx) ツムラ麻杏甘石湯7.5g 分3 7日分 小児の咳嗽・喘息患者の咳嗽の第一選択。発熱はあっても微熱程度。五虎湯は甘いので子供が飲みやすい。 咽頭痛や喀痰が多いときには五虎湯を考慮する。 ツムラ五虎湯7.5g 分3 7日分

Rx) ツムラ小青竜湯9.0g 分3 7日分 何を処方しても駄目なときにこれで咳がピタッと止まることがある(アレルギー性)。咳止め効果増強に麻杏甘石湯を追加。ツムラ麻杏甘石湯7.5g 分3 7日分

Rx) ツムラ小柴胡湯7.5g 分3 7日分 しっかり気管支炎や肺炎になれば、小柴胡湯の強力な抗炎症作用が必要になる。症状が強ければ重症度に応じて2~4時間毎に1週間服用。

 インフルエンザ対策

インフルエンザシーズンになったら予防として。実際に流行が始まっても予防効果がある。インフルエンザ患者と接触する職種にも有効。 Rx) ツムラ補中益気湯7.5g 分3 14日分

<成人に推奨される処方例>①イナビル吸入粉末薬20mg 2回吸入②ツムラ麻黄湯7.5g+ツムラ越婢加朮湯7.5g 分3 1日分(2時間毎に)
発汗したら下記へ。発汗していたら下記から開始。
③ツムラ桂枝湯7.5g+ツムラ麻杏甘石湯 7.5g 分3 1日分(2~3時間毎に)
解熱したら ④東洋桂麻各半湯4.5g+ツムラ補中益気湯7.5g 分3 2~3日分

<小児に推奨される処方例> ①まだ元気があるときは麻黄湯 ②ちょっと汗をかいているときは桂麻各半湯 ③最初からぐったりして動けないときは大青竜湯 (無汗:麻黄湯+越婢加朮湯、しっとり:桂枝湯+ツムラ麻杏甘石湯)
重症感があればためらわずに③で! 処方箋には1日3回と書くが、実際は… 就寝時を除き3~4時間おきに。本当にぐったりなら2時間おき。 37.5℃に解熱したら内服中止。
食欲がなくてダラダラしていたら補中益気湯。下痢などの消化器症状があれば真武湯。

<大青竜湯で改善しないとき> 内臓の強力な抗炎症薬である柴葛解肌湯の近似処方 ツムラ葛根湯7.5g+ツムラ小柴胡加桔梗石膏7.5g 分3 7日分(実際は3~4時間毎に服用)

<インフルエンザ咳嗽の治療法> 湿性咳嗽の第一選択 ツムラ竹筎温胆湯7.5g 分3 7日分  ややこじれた乾性咳嗽 ツムラ滋陰降火湯7.5g 分3 7日分 両方使う wetとdryな領域が複雑に混在するため

<肺炎になった場合> 細菌性なら抗菌薬、ウイルス性ならステロイド。でもそれだけでは重症の肺の炎症は治らない。肺の高度な炎症を鎮めるには小柴胡湯投与が必須である Rx) ツムラ小柴胡湯7.5g 分3 14日分(実際は4時間毎に7日間投与する)

まとめ:かぜの治療で留意すること 最初から強めの方剤でバシッと決めていち早く免疫系を立ち上げる

(投稿者:斉藤 揚三)