ホクナリンテープの注意点
2019.02.28
ホクナリンテープは「咳止めテープ」などとして気軽に使われたりしているようですが、本来はそのような薬ではありません。
ホクナリンテープは「長時間作用型の気管支拡張薬」です。
貼付してから8~12時間後に最高血中濃度に達し、24時間以上効果が持続します。気管支喘息の方に、夕に貼付して、朝の発作を起こさないようにする薬です。
ですから、咳がひどい人に使っても、すぐには効かない挙句(そもそも咳には効果がない)、だらだらと作用が続きます(これが後々問題になります)。
長時間作用型の気管支拡張薬は、喘息の重症発作や喘息死を増やすという報告もあります。
また添付文書には、「用法・用量を超えて使用を続けた場合,不整脈,場合によっては心停止を起こすおそれがある」と書かれています。これは、大人に処方されたホクナリンテープを小児に使ったら危険だと言うことです。
「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017」では、ホクナリンテープは、気管支喘息のコントロール状態が悪化した際に症状が安定するまで短期的に使用することを目的とした「短期追加治療」という概念に位置付けされています。漫然と使用せずに症状がコントロールされたら速やかに中止し、2週間以上必要である場合には、追加治療やステップアップを行うとしています。
以上から、小児の風邪や咳に処方するようなものではありませんし、小児気管支喘息でも漫然と使ってはいけない薬です。
小児のガイドラインから抜粋しましたが、高齢者であっても同様の注意が必要です。特に、高齢者は心不全を合併している方が多く、ホクナリンテープが少なからず心臓に負担をかけることも意識しておかなければなりません。
(投稿者:斉藤 揚三)
カテゴリー:薬剤