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当院での減薬の1例

薬剤の多剤併用により薬剤有害事象が起きていることをポリファーマーシーといい、社会問題にもなっています。当院ではできるだけ、薬を減らせないかを考えて診療しています。

今回は当院で行った減薬の1例を載せてみます。

症例:87歳 女性

既往歴:左大腿骨転子部骨折で手術歴あり、高血圧、不眠症

前医での処方
アムロジピンOD錠2.5mg 1錠
リバロOD錠1mg 1錠
ベタニス錠50mg 1錠
エディロールカプセル0.75mg 1C 分1 朝食後
レバミピド錠100mg 2錠
エブランチルカプセル15mg 2C 分2 朝夕食後
ハルシオン錠0.125mg 2錠 分1 就寝前

 アムロジピンOD錠
Ca拮抗薬です。高血圧治療の第一選択薬であり、処方していても問題ないと考えます。薬剤性の浮腫に注意が必要ですが、本症例ではみられませんでした。

リバロOD錠
スタチンです。心血管疾患の2次予防ではエビデンスはありますが、当症例は心血管疾患の既往もなく、積極的な内服の適応はないと考え中止とします。

ベタニス錠
過活動膀胱の薬です。抗コリン作用があります。抗コリン作用により、便秘、口渇、せん妄などの副作用が生じる可能性があります。現在、頻尿の症状はありませんでした(薬が効いていて症状がない可能性もありますが)。長期で漫然と使っていると認知機能の低下を起こす可能性もあるため、一度中止して、頻尿が再発するかどうかみてみることにします。

エディロールカプセル
活性型ビタミンD3製剤です。骨粗鬆症ガイドラインでは椎体骨折にはグレードA、大腿骨近位部骨折にはグレードCとなっています。当症例では再転倒により右大腿骨近位部骨折を受傷する危険性があります。それをどうしても予防したければ大腿骨近位部骨折に対するグレードAのビスホスホネート薬かデノスマブを使用します(本症例では使用しません)。また、エディロールには転倒を抑制する効果もあるため継続します。

レバミピド錠
防御因子増強薬です。エビデンスもなく、日本でしか使われてない薬です。意味がないと思われ中止します。

エブランチルカプセル
α受容体遮断薬ですが、高血圧治療の第一選択薬ではありません。起立性低血圧の副作用により転倒のリスクも高くなるため中止します。

ハルシオン錠
入院中は眠れなかったため処方されていたようですが、家に戻ってからは内服しなくても眠れているということです。ベンゾジアゼピン系は転倒のリスクを高め、認知機能にも影響を及ぼします。ハルシオンには逆行性健忘という副作用もあるため中止します。

当院の処方
アムロジピンOD錠2.5mg 1錠
エディロールカプセル0.75mg 1C 分1 朝食後

5剤以上の内服は転倒のリスクが高くなりますが、7剤から2剤にまで減薬できました。また、転倒の原因になりうる、ベタニス、エブランチル、ハルシオンを中止しました。

転倒しても骨折しないように骨を強くするという考え方より、転倒しないようにするという方が大切だと考えています。

(投稿者:斉藤 揚三)