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告白します、僕は多くの認知症患者を殺しました

『告白します、僕は多くの認知症患者を殺しました』(石黒伸、現代書林)を読了しました。
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一見してタイトルが売らんがために過激に作られたと思われますが、内容は認知症治療のちゃんとした本でした。タイトルはコウノメソッドに出会う前の筆者の状態であったようです。筆者は泌尿器科医を辞めて海外で様々な医療を学び、日本に戻って在宅医療に従事するという変わった経歴の持ち主です。認知症を当院でも取り入れているコウノメソッドで治療しています。この本では、認知症を在宅医療で治療した症例を通し、薬害が起こっている現状とコウノメソッドで劇的に改善していく様子が記されています。なるほどと思ったのは、施設よりも在宅のほうが認知症治療がうまくいくというところです。信頼できる家族と住み慣れた家で暮らすことが認知症にとって良い方向に作用するようです。筆者は実際に、患者さんの動線を確認し転倒リスクを評価したり、環境調整(例えばトイレの温度、テレビやエアコンの位置など)もしています。それが、患者さんの生活を直接見ることができる、在宅医療のメリットなんだと思います。そして最終的には、在宅医にとってなくてはならないのがコウノメソッドであると結論づけています。本書は一般向けに書かれた本ですが、在宅医にとっても参考になる本であると思います。

(投稿者:斉藤 揚三)