がんロコモ
2020.07.13
第93回日本整形外科学会学術集会 オンライン学術集会
2020/7/12 アフターヌーンセミナー
がんロコモ -整形外科のニューフロンティアー
河野博隆 帝京大学整形外科主任教授
がん患者さんの運動器の問題として、①がん自体による問題(骨転移や骨・筋肉に発生するがん)②がん治療による問題(長期入院による筋力低下、抗がん剤による末梢神経障害・骨粗しょう症など)③がんと併存する問題(腰部脊柱管狭窄症や変形性関節症など)があげられます。
しかし、がん診療医は運動器に関心がなく、また、整形外科医はがんに関心がないので、がん患者さんの運動器の問題は見過ごされているとのことです。これをニューフロンティアと呼ぶことにしたそうです。
また、がん診療医は動けることの意義を知らず、知っていても動けるようにする術をもたないという話がありました。
運動器障害が不適切に放置されている例として、2症例が紹介されました。
骨転移にともなう腰部神経根障害の診断でオピオイドが処方されたが効果なく副作用がでて、整形外科医が診察したら膝の偽痛風で、注射で痛みがたちどころに改善した。
全身骨転移の患者さんに安静の指示がでたことで、歩ける方が歩けなくなり、整形外科医が診察し、安静を解除し、リハビリをしたら歩けるようになった。
どちらも整形外科に早期に紹介されていれば問題ない症例でした。
整形外科医は、運動器のスペシャリストとして、手術、装具などの外固定、リハビリなどで、がん患者さんの運動器の問題に介入できます。予後は変えられないかもしれませんが、ADLを改善させることはできます。
本公演を聞いて、がん診療医と整形外科医が連携してがん患者さんを診療することが、がん患者さんにとって望ましい形だと思いました。
(投稿者:斉藤 揚三)