ブログ

ブログトップ > アナフィラキシーの対応

カレンダー

2024年11月
« 9月    
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

最近のブログ記事

カテゴリー

月別アーカイブ

  • 2024 (24)
  • 2023 (31)
  • 2022 (31)
  • 2021 (50)
  • 2020 (50)
  • 2019 (42)
  • 2018 (87)
  • 2017 (139)

アナフィラキシーの対応

アレルゲンに接触し数分から数時間で、呼吸器症状(呼吸困難、喘鳴、低酸素血症)、消化器症状(腹痛、嘔吐)、循環器症状(血圧低下、意識障害)などが現れたら、アナフィラキシーです。

アナフィラキシー症状に対する第一選択薬はエピネフリン(ボスミン®、エピペン®)で、アナフィラキシー死亡の最大の原因はエピネフリン投与の遅延と言われています。

しかし、専門医であっても、ショック症状でもアドレナリンを投与するのが74.8%(つまり4人に1人はショック症状であってもアドレナリンが投与されていない)という報告があります。 今井孝成 アレルギー62(11):1515-21,2013.

症状が進行し、血管が開いてしまってから(つまりアナフィラキシーショックになってしまってから)、エピネフリンを投与しても全身に循環しないので、アナフィラキシーだと分かったら、迅速にエピネフリンを投与しなければなりません。

 エピネフリンは臥位にして、大腿の外側に0.3~0.5mg(0.01mg/kg)筋注します。

必ず、筋注しなければならず、静注してしまうと大変なことになります↓
この例ではおそらくボスミン1Aが静注され、致死的不整脈が出現したものと思われます。

点滴で急死、1億円支払い 死亡生徒の両親と病院和解

 大阪府高石市の高石藤井病院で2015年、点滴を受けた堺市の高校3年の女子生徒=当時(18)=が急死したのは不適切な薬剤投与が原因だとして、両親が病院を運営する医療法人「良秀会」(堺市)と医師に約1億2700万円の損害賠償を求めた訴訟があり、大阪地裁(野田恵司(のだ・けいじ)裁判長)で3日までに和解した。病院側が診療に落ち度があったと謝罪し、1億円を支払う。

 9月26日付の和解条項には、病院側が再発防止策に取り組むことも盛り込まれた。

 訴状によると、生徒は15年12月29日夜、食後に目が腫れ、高石藤井病院の救急外来を受診。点滴を受けた直後に頭や胸の痛みを訴えて意識を失い、約3時間後に死亡した。検視の結果、原因は食物アレルギーによるアナフィラキシーショックとされた。

 しかし、両親側は、心停止状態の患者を蘇生させる場合の約4倍の量の薬剤を、静脈に投与した医師の判断は不適切と指摘。その結果、アドレナリンが過剰投与された状態になり、死亡したと主張していた。

 同病院は取材に「担当者が不在で対応できない」としている。

2017/10/04 共同通信社

ちなみに、ボスミン1A(1㎎)を静脈内注射するのは心肺停止時であり(添付文書上は1/4Aを静注)、使用法を間違えないように注意する必要があります。

また、食物アレルギーでアナフィラキシーショックを起こす危険がある人は、筋注用エピネフリンシリンジ(エピペン®)を処方してもらって、常に持ち歩くようにしましょう。

(投稿者:斉藤 揚三)