ウォーキングの科学
2020.02.13
『ウォーキングの科学 能勢博 講談社ブルーバックス』
1日1万歩歩けば体力は向上すると一般的には考えられていますが、筆者が実際に検証したところ、1日1万歩歩いても体力の著名な向上は認めらず、また、血圧や血液成分の改善効果も満足なものではなかったそうです。
筆者は、通常のウォーキングでは運動強度が足りず、ややきついと感じる程度の運動強度が必要だと述べています。
そこで開発されたのが、「インターバル速歩」です。
インターバル速歩とは、ややきついと感じる早歩きと、ゆっくり歩きを3分間ずつ交互に繰り返すウォーキング法で、これを1日5セット以上、週4日以上することが目標です。
5ヶ月間のインターバル速歩群で、膝伸展筋力が13%、膝屈曲筋力が17%、最高酸素消費量が10%向上し、収縮期血圧が10mmHg、拡張期血圧が5mmHg低下したそうです。インターバル速歩群では、平均歩数は1日8520歩でしたが、1日1万歩群より全ての調査項目で勝っていました。
平日に運動する時間がとれない人は、週末にまとめて運動するなどで、早歩きの時間が週60分以上になるように調整すればよいそうです。
本書を読み、運動時間ではなく、運動強度が重要なことが分かりました。今後の生活や診療に取り入れていきたいと思います。
(投稿者:斉藤 揚三)
カテゴリー:書評