ビスホスホネート薬による顎骨壊死
2017.10.02
ビスホスホネート薬投与中に顎骨壊死が生じることがあります。
アレンドロネート投与による顎骨壊死のリスクは0.01~0.04%なのですが、抜歯をすると0.09~0.34%に増加したという報告があります。
こういった問題に巻き込まれないためには、ビスホスホネート薬投与前に、現在歯科治療を行っていないか、今後歯科治療の予定はないのかを確認することが必要です。
ビスホスホネート薬をすでに使用している方に侵襲的な歯科治療が必要になった場合はどうするかと言うと…
AAOMS(アメリカ口腔顎顔面外科学会)では、「ビスホスホネート薬投与が4年以内なら、通常通りに治療する。4年以上なら、2か月前後休薬してから治療をする」ことを推奨しています。
だたし、これには根拠がなく、2か月前後の休薬で骨からビスホスホネート薬がwash outされるとは思えません。しかし、現状ではこの基準に沿うしかありません。
確率的には非常に低い(1万~10万人に1人)ですし、悪性腫瘍に対して静脈注射で高容量のビスホスホネート薬を使っている場合に起こることが多いので、そこまで神経質になる必要はないと思いますが、「口臭がひどくなった」「歯がぐらぐらしてきた」などの訴えがあった場合には、休薬し歯科受診を勧める必要があります。
顎骨壊死の治療については自分自身の経験はありませんが、テリパラチドを使用すると良いようです。
より詳しいことが知りたい人は、「骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理: 顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016」を参照してみてください。
(投稿者:斉藤 揚三)
カテゴリー:整形外科