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ユマニチュードにおけるリハビリ

以前このブログで、入院すると手厚いケアを受けたり安静が指示されたりで、ベッドに寝ている時間が多くなり、廃用が進むことが多いと書きました。

入院中にリハビリが指示されていたとしても、それ以外の時間をベッドで寝ていれば、寝たきりへの移行を防げないかもしれないのです。

さて、認知症ケアの技法であるユマニチュードでは、4つの柱の中の「立つ」において、リハビリについても言及しています。立つことはその人の誇りと尊厳を保つことにつながり、「1日20分立つことができれば寝たきりにならない。その20分は細切れでよい」としています。

ケアの際にいかに、立つという場面を作っていけるかが重要です。ユマニチュード認定施設では、40秒間立位が取れる人であれば、立位と座位を組み合わせることによって、臥位のまま清拭することはないようにするそうです。

ユマニチュードではケアのレベルを3つに分けています。

①回復を目指す
②現状を維持する
③最期までよりそう

例えば、病棟からレントゲン室までレントゲンを撮りに行く場面を想定してみます。患者さんのADLによってケアの仕方も変わってきます。

レントゲン室まで歩いていってもらう。
歩けなくなってきている方にとっては、①回復を目指すケアになるかもしれません。
もともと歩ける方にとっては、②現状を維持するケアになるかもしれません。

ベッドサイドから少し離して車イスを置き、車イスまで歩いてももらう。
もともと車イスレベルの方であれば、①回復を目指すケアになるかもしれません。
少し歩ける方にとっては、②現状を維持するケアになるかもしれません。

車イスを押してレントゲン室まで連れて行く。
寝たきり状態の方にはこれしかできませんが、これは③最期までよりそうケアになります。

このように、自分が今しているケアは3つの内のどのレベルを目指しているのかを常に意識することが重要です。間違ったレベルのケアをしてはいけません。歩ける方に、車イスに乗せてレントゲン室まで行ったとしたら、それは機能を失わせるケアということになります。

リハビリ以外のスタッフがリハビリに関して少し意識するだけでも、患者さんの状態は変わってくると思っています。「リハビリはリハビリスタッフに任せて、あとは何もしなくても良い」というのは間違いなのです。

(投稿者:斉藤 揚三)