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入院のメリット・デメリット

本日の訪問診療で、患者さんの家の前のフジがきれいだったので写真を撮ってみました。

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さて、「入院する(させる)と安心だ」という言葉はよく聞きますし、その心情は良く分かります。

確かに入院すればなにかあってもすぐに何かしらの対応が受けられますし、家族は介護から解放される、精密検査や場合によっては高度な治療を受けることができるなど、そのメリットは大きいものがあります。

しかしデメリットがあることも忘れてはいけません。

特に高齢者では、入院するとそれまでの環境とガラッと変わってしまうため、その変化についていくことができず、せん妄が誘発されることが多々あります。それによって、身体拘束されベッドに縛り付けられれば、廃用が進んで寝たきりになってしまうかもしれません。また、せん妄のため、ご家族が1日中付き添わなければならないこともあります。

また、疾病の治療だけを考え「生活機能の維持」という基本的なことをないがしろにする医師がいることも事実です(内科系の医師に多いと思われます)。疾病が治ったのはいいが、寝たきりになってしまったというのはよくあることです。そのような医師にあたった場合、予防的なリハビリの指示もでないということもあります。また、意味のない安静が指示されていることもあります。

仮に、リハビリが指示されていたとしても、リハビリの時間は1日に20分くらいです。入院中は、看護師が手厚くケアしてくれるので、その結果活動量が低下し、退院時にはADLは低下していたという報告もあります。もしリハビリの時間以外をベッド上で過ごす状況であれば、寝たきりへの移行を防ぐことはできないかもしれません。

さらに、入院のデメリットとして自由が奪われることもあげられます。口に合わない病院食も我慢して食べるしかなく、消灯時間も決まっており、タバコもお酒も禁止です。

それに対して、在宅医療では住み慣れた場所で医療を継続できることが最大のメリットになります。環境変化によるせん妄も起こりにくく、好きな時間に起きて、好きなものを食べて、タバコやお酒を楽しむことも可能です。大がかりな検査や治療は難しいですが、血液検査や尿検査などの基本的な検査、点滴や酸素療法も受けられ、入院に準じた医療を受けることもできます。

なにかあったらすぐに入院ではなく、在宅医療という選択肢があっても良いと思います。

 (投稿者:斉藤 揚三)