在宅での褥瘡治療⑤ 最終的な考え方
2019.03.12
これまで、褥瘡に対する、体圧管理の重要性や、実際の処置の方法などについて書いてきました。
しかし、このような対策をしても、残念ながら褥瘡が良くならない方もいます。
これは、全身状態や栄養状態、血糖コントロールが悪かったり、血流障害があったりするために、褥創の治りが遅くなるというのが大きな要因だと思います。
介護者(家族や介護職員)・医療者などの中には、褥瘡はあってはならないと考える方がいて、褥瘡ができるとことさら騒ぎ立てる方がいます。
しかしこれはおかしなことなのです。
そもそも褥瘡がどうしてできるのか考えてみると、食事が摂れなくなって栄養状態が悪くなり、寝たきりで動けなくなり一か所に圧力がかかることで起こるのです。
これは、つまり老衰の過程なのです。人は老衰に逆らうことはできません。いろいろな対策をしても治らない場合、「褥瘡とともに生きる」という選択もあると思います。
肺炎で亡くなるのは受け入れられるが、褥瘡が感染して亡くなるのはいけないというのはおかしいのです。褥瘡を含めて、トータルで高齢者をみなければいけません。
当院で行っている処置は、早く、安く、痛くなく、簡単で、在宅で行うのには最も適している方法だと思っています。
高価な創傷被覆材を使い、処置に痛みを伴い、介護人が疲弊するような方法は在宅医療では適さないと考えています。
(投稿者:斉藤 揚三)
カテゴリー:褥創治療