在宅における脱水の評価
2017.07.11
暑い日が続いていますが、こういった日は特に患者さんが脱水になっているかどうかというのは重要です。
在宅医療の現場では検査機器が限られた中で、点滴が必要かどうかの判断に迫られることがよくあります。
上田剛士先生の本「高齢者診療で身体診察を強力な武器にするためのエビデンス」によれば、口腔内乾燥(口腔粘膜や舌乾燥、舌縦皺)は感度は高いが、口呼吸でも認められるため、特異度は低いようです。
→つまり口腔内が湿潤していれば脱水はないが、口腔内が乾燥していても必ずしも脱水とはいえないということです。
腋窩乾燥は特異度の高い所見のようです。
窪んだ眼窩とcapillary refillの延長は、同一患者で比べた場合は有用性があるようです。
採血は結果報告が翌日なので、その場の判断には使えません。
そこで、当院ではポケットエコーで脱水の有無を評価しています。
具体的には下大静脈(IVC)径を測定しています。
実際の方法を以下に記載します。
①右肋弓下にプローブをあて、肝臓を描出します。肝静脈とIVCを探します。プローブを縦に回転させ長軸方向にIVCを描出します。IVCが右房と連続していることを確認します。
②IVCと肝静脈の合流部の末梢2cmのところで径を測定します。
正常は15mm程度で呼吸性変動がみられます。
↓ではIVC径は17.6mmとなります。
③10mm以下の場合↓、循環血液量の減少≒脱水があると考えます。
注意点など
IVCがうまく描出できない場合、虚脱していてみえない可能性も考えます。
呼吸性変動がない場合は、大動脈をみているかもしれないので注意してください。
慣れれば30秒くらいで評価できるので、在宅では非常に有用な検査です。
(投稿者:斉藤 揚三)