在宅医療におけるゾフルーザの使用について
2019.01.21
当地域でも、インフルエンザが流行し始めてきています。
2018年3月に新規インフルエンザ治療薬の「ゾフルーザ」が発売され、実質的には今シーズンから使われています。
今までのインフルエンザ治療薬としては、ノイラミニダーゼ阻害薬が主流で、内服薬のタミフル、吸入薬のイナビル、リレンザ、点滴薬のラピアクタがあります。
ノイラミニダーゼ阻害薬は、細胞内で増殖したウイルスが細胞外に出るのを妨げる作用があります。一方、ゾフルーザは、細胞内でウイルスが増量しないようにする作用(抗ウイルス作用)があり、より根本的な治療ができることになります。また、ゾフルーザは1回の内服で良いというのも特徴です。
ということで、インフルエンザ治療薬がタミフルからゾフルーザに変わる流れができるのかと思いきや、調べてみるとそうでもなさそうです。
ネットの記事で、亀田総合病院でゾフルーザが不採用になったことが取りあげられていました。その理由をまとめると…
・実臨床での使用実績が不十分。
・論文では、安全性・有効性ともタミフルと比較して非劣性が示された(つまり劣っていないというだけで優位ではない)。
・耐性化の問題。ゾフルーザ投与後にアミノ酸変異のあるウイルスが小児の約2割、成人の約1割で検出された。
・薬価が高い。
とのことです。
在宅医療においては、タミフルの内服管理もできないような方、イナビルの吸入もうまくできないような方に、ゾフルーザを1回だけ目の前で内服してもらうという使い方はできると思います。
しかし新薬なので、今後思わぬ副作用が報告される可能性もありますし、もう少し様子見をしたいところです。
というわけで、当院では今シーズン、主にタミフルを処方していく方針にしました。
(投稿者:斉藤 揚三)
カテゴリー:薬剤