在宅医療におけるプラリアの使用について
2017.10.05
プラリア(デノスマブ)はRANKLの受容体RANKへの結合を阻害することで破骨細胞の分化を抑制し、骨吸収抑制効果を示す骨粗鬆症治療薬です。
6か月に1回の投与でよく、骨粗鬆症ガイドラインでは推奨グレードがオールAなので、非常に良い薬であると思います。
しかし効果が高い分、副作用(主に低Ca血症)に注意が必要です。
低Ca血症の発現を防止するためには、カルシウムとビタミンDを経口補充するとともに、定期的に血清カルシウム値をモニタリングしなければいけません。
低Ca血症は約半数が投与後7日以内に起こっているようです。つまり投与後7日間は特にこまめに観察しなければなりませんが、在宅医療で観察していくのは困難であると考えています。
低Ca血症は症状が多彩で見分けにくく、放置すれば死亡リスクもあります。
医学の祖と言われるヒポクラテスの言葉に、「自身の能力と判断に従って、患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しない」とあります。
いくら効果が高くても、患者さんに害を生じる恐れのある薬は使用しないスタンスでいますので、当院では使用していません。
(投稿者:斉藤 揚三)
カテゴリー:整形外科