寝たきり高齢者の便秘時の漢方薬
2018.01.17
井齋偉矢先生の漢方薬の講演の中で、最近は特養に入所しているような高齢者の便秘には桃核承気湯(とうかくじょうきとう)が喜ばれるので、麻子仁丸(ましにんがん)から桃核承気湯に変えているというお話がありました。
便秘に対する漢方薬で有名なものに麻子仁丸がありますが、麻子仁丸は自立している高齢者にはいいが、特養に入っているような人には使えないとのことでした。麻子仁丸では腸管の蠕動運動を亢進させる作用が弱いとのことです。
その話を聞いて、当院でも施設入所中で、頑固な便秘のある高齢者に桃核承気湯を何例か試しましたが、下剤や浣腸を使わなくても自力排便があるようになり、確かにその効果がはっきりありました。
そのため、現在、桃核承気湯を寝たきりの高齢者の頑固な便秘に使っています。
摘便しなければ排便がないような方にお勧めです。
処方例:桃核承気湯7.5g 分3 毎食前 (1日1包や2包でも良い人もいる)
※7.5g中、甘草が1.5g入っているので、偽アルドステロン症には注意が必要です。
(投稿者:斉藤 揚三)