当院が接遇改善に力を入れるわけ
当院は「接遇」の改善に力を入れています。
それは患者さんやご家族に対してはもちろんのことながら、業務上かかわりのある業者さん、行政機関の担当者、介護福祉系のスタッフに対しても同様です。
医療者の中には「接遇などどうでもいい。患者を治すことが我々の使命だ。感じは悪いが治せる医者と、感じはいいが治せない医者がいたとすれば、患者は前者を選ぶに決まっている」という人もいます。
確かに一理あると思います。
しかし、医療者といえどもサービス業の一種です。
「病気を治す」目的は何でしょうか?
それは患者さんが、病気が治って「よかった」と思うこと、すなわち「患者の満足」だと思われます。
「患者の満足」が医療の究極的な目的であるとすれば、その目的のために「接遇の改善に取り組む」というのは当然のことではないでしょうか?
さらに言えば、当院の対象患者さんの多くは老衰の末期、末期がん、神経難病などであり、「治せる病気」ではありません。
ですから、当院で行う医療の目標は「病気を治すこと」ではなく、「苦痛を和らげ、穏やかな生活を送ること」「病気や老衰が徐々に進行するとしても、穏やかな最後を迎えられるようにすること」「緊急事態に対応すること」となるわけです。
そのような医療を地道に丁寧に行うことで、
「病気が病気だし(歳も歳だし)治らないのは仕方がないけど、できる範囲の医療も受けられて、いい先生にも診てもらえてよかった、満足だ」
となるのが最終目標なのです。
「治せる病気」を多くみている医療者は「病気を診断して治すことが一番大切だ。接遇などどうでもいい」と主張できるかもしれませんが、立場が変われば同じようには言えないのではないかと考えます。
当院は、患者さんやご家族に満足していただける医療を提供するために、これからも接遇改善に取り組んでまいります。
(投稿者:斉藤 群大)