抑肝散の介護者同服
2018.01.15
抑肝散はもともと小児の夜泣きやひきつけなどに使われていましたが、その応用で、最近は認知症の高齢者のBPSDに対してよく使われるようになりました。
抑肝散には「子母同服」という飲ませ方があり、これは子供が夜泣きをしているときには、母親も同様にイライラしているものであり(母親がイライラしているので子供が夜泣きをしているという可能性もあり)、文字通り母と子が一緒に飲むという飲ませ方です。そうすることで、子供は眠り、母親もイライラが治まるという双方に効果が期待できます。子供が内服できないくらい小さいときは、母親が内服し、母乳を与えることで子供にも飲ませることができます。
さらに抑肝散の「子母同服」の応用として、「介護者同服」という飲ませ方があります。
これは認知症の高齢者のBPSDがひどいときには、介護者も同様に精神的に不安定になっているものです。そこで抑肝散を患者さんと一緒に介護者にも飲んでもらうと、双方の心が落ち着くというものです。
診療においては、どうしても認知症の患者さんだけに注目してしまいがちですが、介護者に対する気遣いも大事だと思っています。
(投稿者:斉藤 揚三)