施設への「訪問薬剤管理指導」について
2018.06.19
「訪問薬剤管理指導」は、薬を届けてもらえるサービスと誤解されがちですが、それは業務の一つにすぎません。実際は、薬剤師が自宅に行って、飲み残しの薬ははないか、副作用はでていないかなどを確認し、問題があった場合には処方医に報告し、指導するのが主な仕事になります。また、夜間や休日などに急な調剤が必要になった場合の対応も含まれています。
ですから、認知症のある独居の方、あるいは老々介護で介護者もしっかりしていないなどで、服薬がしっかりできていないと思われる方、あるいは時間外の調剤が必要になりそうなくらい病状が安定していない方に「訪問薬剤管理指導」の指示をだすのはとても良いと思われます。
ちなみに、「訪問薬剤管理指導」というのは正確には「薬剤師による居宅療養管理指導」のことで、患者さんが介護認定されていれば、介護保険を使ってのサービスとなります。
さて、施設における「訪問薬剤管理指導」ですが、施設ではスタッフが服薬管理しているところがほとんです。そのため、薬を間違って内服したり、内服しなかったりすることはまず起こりません。さらに、当院ではこれまでに様々な薬局に「訪問薬剤管理指導」を依頼しましたが、ほとんどが薬を施設に届けるのが主のサービスになっています。患者さんに会わずに施設のスタッフに、患者さんの状態や残薬などを聞き、医師に報告しているケースもありました。
そういうわけで、施設においては「訪問薬剤管理指導」を入れる優先度は低いと言わざるを得ないのが現状です。
「施設のスタッフが薬をとりに行くのが大変なので訪問薬剤管理指導を入れる」というのは誤った考えなので取り上げてみました。
(投稿者:斉藤 揚三)