未来年表 人口減少危機論のウソ
2018.12.10
『未来年表 人口減少危機論のウソ 髙橋洋一 扶桑社新書』
この本は、ベストセラーとなった、「未来の年表(講談社現代新書)」を意識して書かれていると思われます。「未来の年表」は、将来の日本の人口を予想し、未来に起こりうることが年表として書かれており、どちらかというと将来の人口減少に対して不安をあおるような内容でした。一方、本書では「未来の年表」に書かれている事態は想定内のことで、特に問題はないと述べています。
人口減少は必ずしも不幸な事ではないといった根拠として、人口増減率と経済成長率は相関がない、デフレと人口減少も無関係、人口減少で社会保障は破綻しない、といえるデータを示しています。
興味深かったのは、出生率は政府がコントロールできないというところです。政府が出生率をコントロールできるとしたら、中国の「一人っ子政策」のように強制的に減らすことだが、それも民主主義の日本では無理。増やすようにするには、婚外子を認めるか、人工中絶を禁止するなどの政策が考えられるが、そこまでする必要があるのかというのが筆者の考えです。
確かに、人口が減ればそれだけ需要が減りますが、供給側も同じように減るので(つまりライバルが減るということ)、生き残っていけるというわけです。そもそも人口が増えようが減ろうが、駄目なサービスは駄目なわけで、人口減少危機論に惑わされず、今の自分の仕事に集中するほうがベターです。
本書を読んで、将来の人口減少をことさら不安視しなくてよいと分かり、少し明るい気持ちになりました。
(投稿者:斉藤 揚三)
カテゴリー:書評