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真の勉強法とは?

『医学部に行きたいあなた、医学生のあなた、そしてその親が読むべき勉強の方法 岩田健太郎 中外医学社』

無題

この本は、神戸大学大学院医学研究科感染症内科教授の岩田健太郎先生が書かれた本です。岩田先生は、感染症に関する多数の本を執筆されていますが、この本はちょっと毛色が違っています。

タイトルを一見すると、医学部受験のための勉強法が書かれているのかと思ってしまいますが、本書は受験勉強に限らず、あらゆる勉強の本質について書かれています。そのため、受験生に限らず、真の勉強とは何なのかを知りたいあらゆる方に読んでほしい本です(そう考えるとタイトルがちょっと残念な気がします)。

本書には受験を突破するための効率的な勉強法などは書かれておらず、逆に、効率の良さは長い目でみると効率の悪さになると指摘されています。これは、林修先生が「勉強は遠回りの方が良い、無駄だらけの勉強でも興味を持ってやっていれば、土台がしっかりして応用が利くようになる」と言っていたことと同じだと思います。「急がば回れ」というわけです。

一方医学生は、幼少期から効率の良い勉強を叩きこまれています。また、質問に答える能力は高いが、質問する能力は低いとも書かれています。いくら質問に答える能力が高くても、既存の考え方や価値感や常識を打ち破ることはできません。

本書では、この効率の良い勉強から来る質問能力の欠如を「官僚的知性」と呼び、日本のエリートの病巣になっていると考察しています。

さらに、医学生は勉強を手段としてとらえているため、医学部に合格したとたんに勉強しなくなります。英語が苦手な医師が多い理由を単に勉強不足であるからと断定しています。

自分にとっても、耳が痛くなる話ばかりが書かれていますが、岩田先生の言う本当の知性(勉強を手段ではなく目的とする、自分の分からないものを分かりたいと思える、いい質問ができる)を得られるようになりたいものです。

(投稿者:斉藤 揚三)