終末期医療って何?
第9回 栗原市民公開講座「終末期医療って何?」に参加してきました。
第1部 死の現場から生をみつめる~臨床宗教師の活動を通して~
東北大学病院 緩和医療部 認定臨床宗教師・栗原市通大寺師弟 金田 諦晃先生
金田さんは東北大学病院の緩和ケア病棟で臨床宗教師として働かれています。臨床宗教師とはどういう仕事なのか?、なぜ臨床宗教師になったのか?、そして実際に出会った患者さんから学んだことなどについて話されました。私は、「相手の気持ちは本当のところでは分かりえないかもしれないが、自分の知らないことを学ばせていただきたいという気持ちを大事にしながら関わらなければならないと思った」という言葉が印象に残りました。医療者は患者さんに医療を与えていると考えてしまいますが、患者さんから学ばせてもらっているという気持ちも忘れてはならないと思いました。おそらく、金田さんの言葉で多くの患者さんが救われているのではないかと思います。
第2部 よく死に、よく生きるための緩和ケア
東北大学大学院 医学系研究科 緩和医療分野 教授 井上 彰 先生
終末期医療について一般の方が誤解している点を分かりやすく説明されました。例えば、癌と診断された段階から緩和ケアを受けた方が良い、痛みを我慢すると痛みが慢性的になりもっとひどくなる、医療用麻薬は適切に使われていれば依存は起こらない、麻薬を使っても命は短くならない、麻薬が使われたから末期という訳ではない、終末期は点滴は最小限で良い、などです。「終末期の療養場所として自宅に勝るものはない」というお話もあり、在宅医療についても言及されました。
「死について考えることが、より良く生きることに繋がる」ということが、ご講演された先生方の共通認識だと思います。まず、実際問題として、体が弱くなる前に、「どこで最期を迎えたいのか(病院なのか自宅なのか?)」「どこまでの医療を希望するのか(延命治療を希望するのか、できるだけ自然のままがいいのか?)」などについて、家族内で話し合っておくことが重要です(これをアドバンス・ケア・プランニングと言います)。言葉で言うのは簡単ですが、死について考えるというのはなかなか難しいものです。しかし、良く生きるためには避けてはならないと思いました。
(投稿者:斉藤 揚三)