褥創に「とりあえずガーゼ」の問題を考える
2018.06.01
当院の患者さんに新たに褥創ができた場合、デイサービスや訪問介護などで、とりあえずの処置として、褥創をガーゼで覆っていることがよくあります。
居酒屋での注文なら「とりあえずビール」でもいいでしょうが、褥創治療に関して「とりあえずガーゼ」が横行しているのは大問題と言えるでしょう。
というのも、その処置は褥創をさらに悪化させることになるからです!
それでは、なぜ褥創をガーゼで覆ってはいけないのかについて解説します。
①褥創に限らず、キズは湿潤環境(しめった環境)で最も治りやすいと言われています。キズを乾かして治すというのは、前時代的な治療になります。ガーゼで覆うことで、褥創は乾燥状態におかれ、治癒が遅れてしまいます。
②浸出液で褥創とガーゼがくっついてしまい、処置で剥がす際に出血しますし、痛みを伴います。ガーゼで処置をしていると、出血しては治りを繰り返し、いつまでたっても治りません。
③褥創というものは、長い時間、同じところに圧力がかかることによってできます。ガーゼを厚く覆い、その部分に体重がかかると、覆った部分の圧力が上がり、ますます褥創を悪化させてしまいます。
それでは、褥創ができていた場合、とりあえずの処置として何が勧められるのかというと…台所用品を使っての処置です。
食品用のラップを貼る(これをラップ療法と言います)か、浸出液がありどうしてもガーゼを当てたければ、三角コーナーに使う穴あきポリ袋(ポリ袋に穴を開けてもよい)の中にガーゼを入れて当てるのが良い方法です。
(投稿者:斉藤 揚三)
カテゴリー:褥創治療