認知症、その薬をやめなさい
2018.01.05
『認知症、その薬をやめなさい 高瀬義昌 廣済堂出版』
筆者は東京都大田区で在宅医療中心のクリニックを開いており、約300人の患者さんの訪問診療を行っています。その中で認知症の患者さんが9割以上を占めるそうです。
初回の訪問診療で着手するのが薬の整理で、薬を減らすだけで認知症の周辺症状が劇的に改善した実例が載っています。
抗認知症薬が悪いわけではなく、大切なのはさじ加減で、適量を見極めるのがとても難しいです。そのため、在宅医療のメリットを存分に生かし、訪問看護師、介護スタッフ、家族と密に連絡を取り、抗認知症薬の作用と副作用を見極めているようです。
筆者は、認知症の治療は薬が1.5割、ケアが8.5割と考えています。そのため、認知症の治療で成果を上げるためには、薬による治療だけではなく、患者さんと家族の生活全般をサポートする必要があると述べています。
薬でどうにかできるのは1.5割ですので、薬だけでどうにかしようとするのは間違っています。さらに、薬が増えれば増えるほど薬剤有害事象が出現しやすくなります。
認知症患者さんは通院が難しい方が多いですし、在宅医療では生活環境も見ることができ、医療介護連携によって副作用がでていないかも細かく見ることができるので、認知症治療と在宅医療は相性がいいと思います。
当院でも認知症治療に力をいれて取り組んでいますので、認知症でお困りの方がいましたらお気軽にご相談いただければと思います。
(投稿者:斉藤 揚三)