足背の低温熱傷の症例
2021.05.28
80代女性。湯たんぽで左足背の低温熱傷を受傷しました。
すでに、ハイドロコロイド被覆材が貼られていました。
2週間後の診察時に、「火傷がひどくなった」と言われました。これは火傷が深くなったわけではなく、最初から深かった火傷が顕在化したにすぎません。低温熱傷では通常の経過です。
皮下組織に達する損傷ということで、Ⅲ度熱傷であることが分かりました。Ⅲ度熱傷であっても治療法は変わりません。湿潤療法を継続します。
4週後。良好な肉芽が作られています。
大分創は閉鎖しているのですが、あと一歩です。画像では分かりにくいですが、増生した肉芽が盛り上がっていたため、肉芽を退縮させる目的でリンデロンV軟膏を塗布するように指導しました。
12週後に上皮化しました。
時間はかかりましたが、地道に湿潤療法を続けることで閉鎖しました。創傷治癒を阻害するような消毒は一切行ってはいません。
(投稿者:斉藤 揚三)
カテゴリー:創傷治療