難治性外果部褥創の症例
2020.01.15
なかなか治りづらかった、足関節外果部褥創の症例を取り上げてみます。
施設入居中で、脳出血後の右片麻痺があり、車いすに全介助で移動する程度のADLの方です。
右外果部が痛いという訴えがあり、骨突出部にハイドロコロイド包帯を貼るように指示しました。
3か月後:悪化したとのことで、再度ハイドロコロイド包帯を貼るように指示しました。
7ヶ月後:ハイドロコロイド包帯はやめ、穴あきポリ袋入りオムツで覆うように指示しました。
これによって、創は閉鎖傾向となりましたが、完全に閉鎖することはありませんでした。
この方の褥創は、外果の骨突出部が靴の端で圧迫されることで起きていると考えられました。外果部が擦れないような靴に変更するように指示していましたが、ご家族がなかなか靴をもってきてくれず変えられませんでした。そのため創の状態は一進一退を繰り返していました。
約1年後:ようやく靴を交換できました。画像をみて分かるように、外果部と靴が当たらないようになりました。
靴を変えて約2ヶ月後:創はほぼ上皮化しました。ワセリンの塗布のみ指示しました。
このようにいくら湿潤療法をしても原因(靴)が改善されない限り良くなりません、逆に、原因を除去できればあっという間に治ります。
原因の除去がいかに大切かが分かる症例です。
(投稿者:斉藤 揚三)
カテゴリー:褥創治療