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頸髄損傷の症例

症例:70代男性

在宅医療に至った経緯:糖尿病、肺気腫、慢性心不全、心房細動、慢性腎不全など、内科的な疾病が多くある方。転倒後に、強い頚部痛と右上下肢脱力が出現し病院に救急搬送された(それまでは歩行可)。頸髄損傷の診断で入院(背景に頸髄症あり)。内科的な合併症のため、全身麻酔がかけられる状態ではなく、保存的に加療された。また、心不全、肺気腫のため酸素1L/分が必要な状態が持続。頚部痛や痺れ、右上肢脱力などの症状は改善し、ベッドサイドでつかまり立ち可能になり、自宅に退院。退院後、通院困難なため当院の訪問診療を希望された。

<退院処方>
ガスターOD錠10mg 1錠
ミカムロ配合錠AP 1錠
ザイロリック錠100mg 1錠
アーチスト錠2.5mg 1錠
ワーファリン錠1.75mg
シングレア錠10mg 1錠 分1 朝食後
セレコックス錠100mg 2錠
テオロング錠200mg 2錠
エクメット配合錠HD 2錠 分2 朝夕食後
オパルモン錠5μg 3錠
ガスモチン錠5mg 3錠 分3 毎食後
リピトール錠5mg 1錠 分1 就寝前
ツムラ五苓散エキス顆粒 2.5mg 1包 分1 夕食前
オンブレス吸入用カプセル150μg 1日1回1吸入
ライゾデグ注フレックスタッチ300単位 1日1回朝食前19単位

在宅医療での経過:退院時、膀胱留置カテーテルが留置されており、患者の希望としては、膀胱留置カテーテルが抜けるようにリハビリをして、ポータブルトイレを使えるようにしたいとのことでした。筋力は、右上肢のMMTは5レベルでしたが、右下肢のMMTは3〜4レベルで、麻痺が残存していました。早速、訪問リハビリを開始しました。退院後1ヶ月で膀胱留置カテーテルを抜去。その後自尿あり、ポータブルトイレを使えるようになりました。退院後3ヶ月で廊下に手すりをつけトイレまで歩けるようになり、退院後5ヶ月で歩行が自立し、退院後8ヶ月で外に出ることもできるようになりました。右下肢のMMTも5レベルに回復しました。薬に関しても、できるだけシンプルにするように、内服薬は13剤から7剤に減らしました。糖尿病は低血糖にならないように管理し、HbA1cは6.6〜7.2%程度で推移しています。手術をしたわけではないので、今後、再転倒→頸髄損傷のリスクは依然としてあり、転倒だけには注意するよう指導しています。

<現在の処方>
タナトリル錠5mg 1錠
リクシアナOD錠60mg 0.5錠 分1 朝食後
リピトール錠5mg 1錠 分1 夕食後
エクメット配合錠HD 2錠
プロマックD錠75mg 2錠
アーチスト錠1.25mg 2錠 
酸化マグネシウム錠330mg 2錠 分2 朝夕食後
テリルジー100エリプタ 1日1回1吸入 
トレシーバ注フレックスタッチ 1日1回朝食前8単位

(投稿者:斉藤 揚三)