食欲不振に対する対応
暑い日が続いていますが、当院で診ている患者さんの中には、食欲不振になる患者さんが多くみられます。
食欲不振となっている原因の疾患を治療するのはもちろんですが、ここでは老衰末期状態、末期癌患者さんに対する当院の食欲不振対策を紹介します。
引き出しは多くあった方がいいと思います。
①減薬
食欲不振の状態なので、薬も飲めなくなっていて自然に減薬されていることもありますが、まずはできるだけ最小限の薬に絞り込みます。
減薬するだけで食欲が回復することがあります。
特にアリセプト、レミニールなどのコリンエステラーゼ阻害薬は中止します。
②ドグマチール
ドグマチール錠50mg1錠 分1
食欲不振に対するドグマチールの処方は時代遅れになってきているようです。処方するにしても1錠以上は処方しません。添付文書どおりに3錠 分3で処方すると、錐体外路症状がでる危険性があるからです。
③プロマックD
プロマックD錠75mg 2錠 分2
食欲不振の原因が亜鉛不足による味覚障害のためと考えられる場合は、亜鉛を補充する目的でプロマックDを処方します。
④ラコール、エンシュア
全く食事がとれない状態でも、ラコールやエンシュアさえ飲んでいれば何とかなります。ラコールやエンシュアを使いこなすことが、終末期医療を成功させる鍵となってきます。下痢や高カリウム血症の副作用に注意が必要です。
⑤リフレックス、レメロン
リフレックス錠15mg 1/2錠 分1 就寝前
抗うつ薬です。眠気と体重増加の副作用を利用します。不眠もある方に、夜間に寝てもらいつつ、体重増加を狙います。制吐作用もあるので、嘔気のある末期癌患者さんにも適しています。患者さんによって合う合わないがはっきりしている薬です。
⑥ジプレキサ
ジプレキサザイディス錠2.5mg 1錠 分1 就寝前
抗精神病薬です。制吐作用があるので、嘔気がある方に適しています。副作用である体重増加を利用します。半減期が長いので日中に残ってしまうかもしれません。高齢者には2.5mgくらいがちょうどよいです。
⑦補中益気湯、六君子湯
そもそも食欲不振の状態で漢方薬を飲むのは大変なので、あまり処方することはありませんが載せておきます。
(投稿者:斉藤 揚三)