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食物アレルギーのパラダイムシフト

「食物アレルギーを防ぐためには、妊娠中、授乳中、そして離乳食ではアレルギー食品を避ける」というのが今までの常識でしたが、その常識が大きく変わろうとしています。

以下のような論文がでてきています。

・卵を生後4~6ヶ月から摂取することで、卵アレルギーのリスクは優位に低下(RR 0.56[95%CI 0.36~0.87])

・ピーナッツを生後4~11ヶ月から摂取することで、ピーナッツアレルギーのリスクは優位に低下(RR 0.29[95%CI 0.11~0.74])

JAMA.2016 Sep 20;316(11):1181-1192.

・重度の湿疹、卵アレルギーがある生後4~11ヶ月の乳児に、ピーナッツ摂取群とピーナッツ摂取を避ける群とに分けたところ、5歳の時点で、ピーナッツ摂取群が優位にピーナッツアレルギーの頻度が低かった(1.9% vs 13.7%)。

N Engl J Med 2015;372:803-13.

・生後4~5ヶ月のアトピー性皮膚炎を有する乳児に、鶏卵摂取群と鶏卵摂取を避ける群とに分けたところ、生後12か月の時点で、鶏卵摂取群が優位に鶏卵アレルギーの頻度が低かった(8.3% vs 37.7% )。

Lancet 2017;389:276-86.

いずれの論文も生後早期からアレルギー食品を食べさせた方が、食物アレルギーの発症が低いことが示されています。

昔は離乳食という概念はなく、すぐに大人の食事を食べさせていたようですが、それが正しかったのかもしれません。

NHKスペシャル取材班がまとめた本『アレルギー医療革命 文藝春秋』によれば、皮膚からアレルギー物質が入ると有害な異物と認識してしまい、アレルギーになる。一方、腸から吸収すると専門のTレグ(制御性T細胞)が作られ、アレルギーの予防になる。つまり、先に皮膚から入るか、腸から吸収されるかでアレルギーになるかどうかが決まるという推論をしていました。

皮膚との競争に腸が勝つには、早く食べた方がいいということが、医学的に実証されつつあるのかもしれません。

(投稿者:斉藤 揚三)