活性型ビタミンD製剤による高カルシウム血症
活性型ビタミンD製剤(エディロール、アルファロール、ロカルトロールなど)は骨粗鬆症治療や転倒予防などの目的で高齢者によく処方されますが、高齢者は腎機能が悪い方が多く、容易に高カルシウム血症を起こしてしまうので注意が必要です。
以前、寝たきりの方に漫然とエディロールとカルシウム製剤が処方されており、食欲不振や傾眠などのため当院に訪問診療が依頼され、高カルシウム血症だった症例を経験したことがあります。
当院でも、圧迫骨折後の方で、前医から処方されていたエディロールを続けていたところ、高カルシウム血症になってしまった症例がありました。
高カルシウム血症は、全身倦怠感、食欲低下、便秘など非特異的な症状で発症するため、疑って採血をしない限り分かりません。
ビタミンD製剤を処方する前に、腎機能を確認しておく必要があります。また、処方した後も、定期的(3~6カ月に1回)な血清カルシウムの測定が必要です。
~高Ca血症のまとめ~
Payneの補正式
補正Ca濃度(mg/dL)=血清Ca濃度(mg/dL)+〔4-血清アルブミン濃度(g/dL)〕
高カルシウム血症の治療開始基準
・血清カルシウムが14mg/dL以上の場合
・血清カルシウムが12mg/dL以上で症状がある場合
高カルシウム血症の症状
脱水、意識障害、腎不全 「だ・い・じ」と覚える
治療
・脱水の補正が最優先。生理食塩水の点滴。
・ビスホスホネート製剤
1~2週間効果はあるが、効果発現に2~3日かかる。悪性腫瘍で第一選択。
・カルシトニン
4~6時間以内にカルシウム血中濃度を1~2mg/dL下げる。24時間後リバウンド。3~4割に効果なし。
参考図書:Step Beyond Resident 7巻 林寛之 羊土社
(投稿者:斉藤 揚三)