麻薬を中止した症例
2023.05.24
症例:80代女性 施設入居中
10年以上前に腰部脊柱管狭窄症で手術を受けたが、腰痛と下肢の痺れが続いていた。その後、ぺインクリニックに通院し以下の投薬を受けていた。
<ペインクリニックでの処方>
フェントステープ4mg/日
塩酸モルヒネ錠30mg/日
この方が、尿路感染症で病院に入院。入院中に服薬調整された。
<入院中の処方>
フェントステープ6mg/日
トラムセット配合錠 4錠/日
オパルモン錠5μg 3錠/日
入院中にADLが低下し寝たきり状態になり、退院後は施設に入所。入所後、当院の訪問診療が開始された。
ADLが低下したことで鎮痛薬を減らせるのではないかと考えました。また、平然とした表情で「腰の痛みの程度は10のうち8くらい」と答えるなど、痛みは心因性の要素が強いのでないかと考えました。
抗うつ薬であり慢性疼痛にも適応があるサインバルタを処方しました。トラムセット、オパルモンはすぐに中止し、フェントステープは徐々に減量しました。減量しても痛みの増強はなく、最終的にフェントステープは中止しました。貼付薬が全てなくなると不安が強くなるのではないかと考え、ジクトルテープを処方しました。プラセボ効果を期待し、「最新の貼り薬です(間違ってはいない)」とお話ししています。
<現在の処方>
サインバルタカプセル30mg
ジクトルテープ75mg 1枚/日
ここまで減薬しましたが、聞けば痛みを訴えるくらいで、痛みや痺れは増強していません。麻薬には副作用や依存など様々な問題があるので、減らせるのであれば極力減らすようにしています。
(投稿者:斉藤 揚三)
カテゴリー:整形外科