PPIの副作用
2017.05.18
プロトンポンプ阻害薬(PPI)は胃酸の分泌を抑える胃薬です。
この薬のおかげで、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の患者数が劇的に減少したのですが、だらだらと長く内服するのは危険な薬でもあります。
胃酸の分泌が減ることで様々な弊害が起こるようです。
以下にPPIの副作用を列挙しておきます。
・腸管感染症(Clostridium difficile 感染症、サルモネラ感染症、カンピロバクター感染症)が増える
・肝硬変患者で肝性脳症や特発性細菌性腹膜炎が起こりやすくなる
・肺炎が増える
・貧血が増える
・下部消化管障害(小腸粘膜障害、顕微鏡的大腸炎=慢性下痢の原因)を起こす
・胃がんが増えるかも
・骨粗鬆症、骨折が増える
・認知症、頭痛、腎障害
こんなに副作用があるのかとびっくりしてしまいます。
当院ではなるべく漫然と処方しないようにしているのですが、健常者を対象とした研究ではPPIを4週間内服し中止後、44%で胃酸関連症状を発症していたという報告もあり、一度やめても再開せざるえないこともよくあります。
また、60歳以上では6割程度しか消化性潰瘍の痛みが現れないようで、PPI中断で潰瘍ができても分かりにくいので(出血で発症する)、超高齢者、認知症患者さんではPPIを安易にやめない方が良いとも言われています。
やめる方法としては①漸減法(隔日にするか半量にする)②中止し症状が出たら頓服で内服するという2つの方法があるようです。
(投稿者:斉藤 揚三)
カテゴリー:薬剤