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RS3PE症候群の症例

症例
70歳女性
H30年冬から全身の痛みあり、整体や温泉に通うも良くならず、近くのクリニックを受診。その後、病院の整形外科に紹介され、頚髄症の診断で手術が施行された。術後リハビリを受けたが、自宅退院は難しく施設に入所。入所後通院が困難なため当院に訪問診療の依頼があった。R1年7月当院初診。

前医では原因不明の高CRP血症という診断がついていました。本人の話では、手術はしたが、体の痛みや動きは良くなっていないとのことでした。特に、ベッドから起き上がる際に、両肩や両下肢(両膝以遠)の痛みがあり、自力で起き上がれず施設職員の介助で起き上がっているとのことでした。診察してみると、両手足に浮腫が認められました。

全身の痛みや両手足の浮腫がキーワードとなりRS3PE症候群を疑いました。

ステロイド10mgを処方したところ、症状は劇的に改善し、自力で起き上がれるようになりました。両手足の浮腫もすぐに軽快しました(ステロイド投与後2週間の比較)。

血液検査では、1ヶ月でCRPが6.52→0.31に低下。リウマトイド因子は陰性でした。

高齢者診療をしていると、PMR(リウマチ性多発筋痛症)をよく経験しますが、PMRの亜型と考えられているRS3PE症候群も一定数いると思われます。当院では2例目です。

この疾患は、疾患の概念がないと絶対に診断できません。

当症例は頚髄症の要素もあったとは思いますが、実際にはRS3PE症候群>頚髄症だったと思います。

今後はステロイドを徐々に減量していく方針です。

まとめ
RS3PE症候群(remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema)の診断基準
1. 急性発症の両側性左右対称性の多関節炎
2. 両側手背に強い圧痕性浮腫
3. 50 歳以上
4. リウマトイド因子陰性 
*診断は1~4の項目全て満たすこと

(投稿者:斉藤 揚三)