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入浴基準

ケアマネージャーさんや訪問入浴の事業者さんから、患者さんの入浴基準に対する問い合わせがよくあります。

当院では居宅療養管理指導書に記載しているのですが、収縮期血圧が180以上の時、90以下の時、体温が38℃以上の時は入浴を中止としています。

東京都市大学人間科学部 早坂信哉教授らは、訪問入浴事業所として登録される全2,330か所の事業所に対して訪問入浴に関連する事故・体調不良の発生を調査し、596例の入浴事故を解析し、以下の調査結果を発表しました。
http://www.goto-ikuei.ac.jp/50press/2015/2016-0223-1559-15.html

この報告のエッセンスだけ抽出すると

・入浴前の収縮期血圧が160mmHg以上であることは入浴事故の発生と3.63倍の関連があった。

・入浴前の拡張期血圧が100mmHg以上であることは入浴事故の発生と14.71倍の関連があった。

・入浴前に体温37.5℃以上であることは入浴事故の発生と16.47倍の関連があった。

つまり、絶対に入浴による事故を起こしたくなければ、血圧が160/100以上、体温が37.5℃以上であれば、入浴を中止すれば良いということになります。
しかし、この報告の値を基準としてしまうと、入浴できない方が多くでてきてしまいそうですが、ケースバイケースで判断していくべきだと思います。
当院では、入浴の判断に迷う時は、医師の携帯電話に連絡するように指示しています。
特に終末期の患者さんなどでは、「病院では入浴できなかったけど家で入浴できて良かった」「最期はきれいになりたい」といった話を聞きますので、一概に数値のみで判断しないようにしています。

(投稿者:斉藤 揚三)