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痛い在宅医

『痛い在宅医 長尾和宏 ブックマン社』

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今までの在宅医療の本と言えば、「住み慣れた我が家で穏やかな最期を迎える」といったような、在宅医療を賛美するような内容の本ばかりでしたが、本書は在宅医療の闇に触れた本と言えます。

この本に登場するのは、在宅医療を受けながら、末期がんの父親を自宅で看取ったある娘の話です。そして担当した在宅医の対応に様々な問題のあったケースだったのです。

その娘との対話を通して、在宅看取りとは、アドバンス・ケア・プランニングとは、鎮静とは、平穏死とはなど、様々なことを考察し、問題提起をしています。

どういった症例だったのかは本書を読んでいただきたいのですが、我々在宅医は、この症例を反面教師として、本書のタイトルのような「痛い在宅医」にならないように、自らの診療を見つめなおさなければならないと思いました。その意味で、この本は、これから在宅医療を申し込もうとしている患者さんやご家族だけでなく、在宅医こそ読むべき本だと思います。

筆者の長尾先生は、本の最後で、「この症例の在宅医の対応は確かに悪かったが、それでも平穏死を迎えられたのではないか」と考察しています。この言葉で、残された家族が少しでも救われるのではないかと思いましたし、長尾先生の優しさが感じられました。

(投稿者:斉藤 揚三)