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食欲不振で現れた老年期うつ病の症例

症例:施設入居中の90代女性。認知症あり。 

半年くらい前から食欲不振がみられました。食事の摂取量は、主食は全量摂れるが、副食は半分以上残すくらいでした。

また、食事の飲み込みが大変そうで、食事を口にため込んでいるとのことでした。

食事の飲み込みが大変とのことで、上部消化管の通過障害を疑いましたが、好きな物(お菓子)の飲み込みは悪くないとのことで、それは否定的と思われました。

食欲増進作用のあるドグマチール50mgを処方しましたが、食事摂取量はさらに低下し、トータルで2-3割くらいになってしまいました。

介護者よりさらに話を聞くと、ホールよりも自室の方が食べる、活気がない、下を向いていることがある、飲み込むのがつらそうに見えるとのことでした。

老年期うつ病を疑い、ドグマチールをトリンテリックス10mgに変更しましたが、食欲は全く改善しませんでした。

ご家族と相談したところ、病院での検査は希望なく、さらに食事摂取量が減ったとしても、老衰として受け入れるとのことでした。

そこで、トリンテリックスをリフレックス15mgに変更してみたところ、表情は明るくなり、食事は全量摂取できるようになりました。この患者さんにはリフレックスが非常に合いました。

老年期うつ病はよくみられ(高齢者の約10%)、認知症とよくオーバーラップします。自律神経症状、不眠、食欲低下といった身体症状が認められやすく、希死念慮の訴えも多いです。背景には喪失体験(加齢に伴う身体機能の低下、死別、社会的役割の縮小)があります。

(投稿者:斉藤 揚三)