ビスホスホネート薬による非定型大腿骨骨折
2017.09.27
ビスホスホネート薬というのは骨密度上昇効果・骨折予防効果が高く、エビデンスもある薬ですが注意も必要です。
ビスホスホネート薬は骨吸収を抑制する薬剤です。
ビスホスホネート薬を長期で使っていると、骨密度は上昇し骨は固くなりますが、ビスホスホネート薬により形成されるAGEs架橋によりしなやかさが失われ、結果的に脆い骨になります。
大理石骨病という、破骨細胞に形成・機能障害が起こり易骨折性を起こす病態がありますが、ビスホスホネート薬の長期投与は、人為的に大理石骨病を作っているのと同じと言えます。
実際、ビスホスホネート薬の長期投与により非定型大腿骨骨折を起こす症例が見られます。
専門的な話になりますが、非定型大腿骨骨折は、軽微な外力で、大腿骨転子下~顆上部に、横~斜骨折を生じます↓
また、骨折した反対側の大腿骨に骨皮質の肥厚がみられています。(オレンジの矢印)
(荻野浩、他.ビスホスホネートによる非定型大腿骨骨折.臨床整外2012;47(8):774-777)
ある報告では、5年以上の投与でOR2.7(95%CI:1.3~6.0)と非定型大腿骨骨折のリスクが高まります。
そのため、ビスホスホネート薬を投与(特に長期投与)している患者さんには、大腿部痛がないか、診察時に必ず確認し、あった場合には大腿骨のレントゲン撮影が必要になります。
その際は、beakingとよばれる外側骨皮質の限局性骨膜反応がないか、骨幹部の皮質骨厚が全体的に増加していないか見なければなりません。
(投稿者:斉藤 揚三)
カテゴリー:整形外科