在宅医療におけるPTH製剤の使い方
当院ではPTH製剤を在宅医療でも使っています。在宅医療におけるPTH製剤の使い方について書いていきます。
PTH製剤とは、副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone;PTH)を間欠的に注射することで、骨形成が促進され、骨密度を上昇させる薬です。現在の骨粗鬆症治療においては、一番効果の高い治療法と言われています。
当院では、骨粗鬆症がひどく圧迫骨折を繰り返している方、または、転倒を繰り返しており骨折リスクが非常に高い方に使っています。
PTH製剤には、連日皮下注射製剤のフォルテオと週1回皮下注射製剤のテリボンがあります。どちらも、使えるのは、一生のうちの2年間という制限があります。
フォルテオとテリボンの選択ですが、まずは、フォルテオができないかを考えています。しかし、フォルテオは自己注射のため、かなりしっかりとした人でないとできません。在宅医療を受けているような患者さんには、自己注射ができるような人はなかなかいません。
そこで、介護者がしっかりしていれば介護者に注射してもらうか、看護師がいる施設に入所している方は看護師に注射してもらいます。
また、フォルテオの話をすると、注射時に痛みがあるのではないかと不安になる方がいますが、針は非常に細いため、痛みで脱落する方はまずいません(自分でも、製剤見本を注射してみましたが、痛みはほとんどありませんでした)。
フォルテオが難しい方には、テリボンを選択します。
テリボンにする場合は、毎週訪問診療にして、こちらで注射します(訪問看護では点滴はできても皮下注射はできません)。
テリボンの注意点としては、週1回の注射製剤のため、1回あたりの製剤の量が単純にフォルテオよりも多いので、より副作用がでやすいことがあげられます。
よく経験するのは、注射後の一過性の血圧低下です。これを予防するためには、注射前にコップ1杯の水を飲んでもらうと良いです。
また、PTH製剤には、どちらも高カルシウム血症の副作用があります。活性型ビタミンD3製剤と併用しないように注意しなければなりません。
※算定に関して
フォルテオの場合、在宅自己注射指導管理料 月28回以上の場合 750点が算定できます。これには、「在宅自己注射の導入前に、入院又は2回以上の外来、往診若しくは訪問診療により、医師による十分な教育期間をとり、十分な指導を行った場合に限り算定する。また、指導内容を詳細に記載した文書を作成し患者に交付すること。」という条件があります。また、導入初期加算580点は3か月間算定できます。
(投稿者:斉藤 揚三)